アメリカでは黒人、白人といった皮膚の色による人種差別が常にあります。
また皮膚が黒い人種でも、黒人とアフリカ系アメリカ人は異なるそうです。
特にビジネス上では、アメリカ生まれのアフリカ人はアフリカ系アメリカ人と言った方が無難です。
日本もアメリカのような多国籍文化ですが、アメリカのような外国人に対しての人種差別は少ないです。
個人的に嫌いという感情はあっても、アメリカの様に黒人だから店内での食事を拒否する、お客なのに扱いを悪くする、といったことは日本ではありません。
もちろん店外に『外国人お断り』と書かれた貼り紙が貼ってあるお店もありません。
しかしアメリカになると今でも特定の人種や皮膚の色を名指しで張り紙をしているお店があります。
もちろん拒否されている人種がお店に行ってもサービスを受けることはできません。
しかし、日本でも過去には黒人に対する人種差別が大きな問題になったことがあります。
日本で黒人差別として問題になったのが子供向けの絵本『ちびくろサンボ』です。
『ちびくろサンボ』(アメリカ版)の作者はヘレン・バンアーマンです。
ヘレン・ボンアーマンが描いた『ちびくろサンボ』は、日本だけでなくアメリカやイギリスで人種差別として問題視されました。
『ちびくろサンボ』のストーリーは、小さくて可愛らしい黒い男の子がいました。
男の子の名前は、ちびくろサンボ。
母くろマンボ、父くろジャンボの3人家族です。
ある日、母親が可愛い息子ちびくろマンボに小さくてキレイな赤い上着と青いズボンを作ってあげました。
父親がバザーに行って美しい緑の傘と靴底が真紅の裏張りの可愛い紫の靴を買ってあげました。
ちびくろサンボは母が作ってくれた洋服と父が買ってくれたのが嬉しくて、それらを身につけてジャングルに出かけました。
ところが途中でトラに出会い、トラにお前を食ってやると言われ、ちびくろサンボは綺麗な赤い上着をあげるから僕を食べないで、とお願いします。
それから、ちびくろサンボが奥へ行くと違うトラと出くわし、ズボンと交換で命を助けてもらいました。
ちびくろサンボの不幸はまだ続きます。
さらに別のトラと出会ってしまい、靴をあげるから僕を食べないで欲しいとお願いします。
しかし、トラはちびくろサンボとは違って足が4本あります。
ちびくろサンボの靴は2足なので靴の数が足りない、と言い返します。
それに対して、ちびくろサンボは靴を足ではなくトラの耳につけることを提案し、トラもその提案を気に入り、ちびくろサンボを食べることをやめます。
母が作ってくれた洋服と父が買ってくれた靴を失いながらも歩いていると更に別のトラと出会い、傘をトラに上げて命乞いをします。
トラたちは、ちびくろサンボからもらった物で自分がジャングルで一番だ、と喧嘩を始めます。
トラたちは自分たちが奪った物を放り投げて喧嘩をしていたので、ちびくろサンボはそれらを拾い集めてトラ達のそばを離れていきます。
ちなみに『ちびくろサンボ』は、パブリックドメインでオンラインで読むことができます。
『ちびくろサンボ』は、ちびくろサンボが着ている派手な洋服がアフリカ系アメリカ人を強調しているとし海外では公民権運動で自粛を求められました。
そもそも『ちびくろサンボ』が海外で問題視される原因になったのは、1899年に作者のヘレン・ボンアーマンの友達がイギリスの出版社に『ちびくろサンボ』を持って行ったことです。
著作権の登録をしていなかったことで絵本はどんどん売れてしまい、さらには海賊版までが出回っていました。
日本でも挿絵が改訂された海賊版が出回っており、原作と海賊版では挿絵に大きな違いがあったのです。
日本では1980年代と1990年代に差別に対して敏感になっていました。
ところが長野オリンピックが開催される年に長野県で『ちびくろサンボ』を所有していたら処分する様に公的機関が介入し始めました。
そのことで人種差別に対して過敏になっていた日本人たちは、自分たちのやり方が行き過ぎではと感じ、2000年に落ち着きを戻しました。
1980年、1990年代の日本は高度経済成長期を迎え、日本だけでなく世界的のビジネスも視野に入れていました。
そのことで日本だけでビジネスするのと世界でビジネスをするのでは意識が違ってきます。
海外でビジネスをするなら、外国人が気にすることが日本人も気にはなります。
だからこそ起きた問題ではないでしょうか。